
オリジナルレシピでエビチリを。
今回紹介する料理は、以前から好きで頻繁に作ってきた、僕のオリジナルレシピのエビチリです。
エビチリと言えば、もともとは四川料理の看板メニューとも言うべき豆板醤の香る干焼蝦仁(カンシャオシャーレン)ですが、僕が作るエビチリは豆板醤も唐辛子も使わないので、全く辛味がなく、つまるところチリソースですらありません。
パリに住んでいると、ホームパーティーのようなものに誘われる機会があるのですが、そうした折にひとり一品ずつ何か料理を持ち寄って集まろう、ということがあります。 そんな時、よく活躍してくれたのがこのエビチリなのです。
というのも、そうしたパーティーにもおおよその始まる時間というものはあるのですが、どちらかというとフランスの文化的に、全員が時間通り到着する、などということはごく稀で、むしろゆっくりと小一時間遅れて来るくらいの方が普通です。
ですのでそうしたパーティーに合うような料理といえば、盛り付けてテーブルに並べ、少し冷めてしまっても、美味しく食べれる料理が都合が良いわけですね。 もちろんエビチリだって作りたてで暖かいに越したことはありませんが、たとえ常温でも、充分に人気を集めてくれる一品になってくれる強みがエビチリにはあるのです。
加えてどうして辛くないエビチリを作るようになったかというと、そうしたパーティーで人が集まる場合、その日初めて会う人がいるということが珍しくないというのと、そもそも一般的にフランス人には辛いものを食べる習慣がない人が多く、唐辛子が苦手な人の割合が日本よりも多いので、つまるところみんなで食べれる味付けの方が良かったわけです。
それからフランス料理でも日本のものでもない中華料理だと、他の人と料理が被ってしまう割合もうんと少なくなる、ということも挙げられますね。
作り方。
さて、それでは作り方の紹介です。 今回は少し使用する調味料が多くなりますが、揃えるのにそんなに難しいものはないかと思いますので、ぜひ一度作ってもらえたらと思います。
材料

むきえび 下処理をしておきます。 鮮度の良いものが手に入るようなら、なお良いですが冷凍のものでも下処理をすることで美味しく食べることができます。
本来、中華料理の技法においては薄く塩をあてて、片栗粉で揉むように汚れを落としてからさっと洗い流しますが、最近の冷凍エビは冷凍技術の向上も伴って解凍後の匂いが気になるということもほとんどないですし、むしろあまり揉み洗いをすると味が逃げてしまうので背ワタを取り除いた後、さっと洗い流して水気を拭うくらいで充分です。
アスパラガス、ミニトマト 色が綺麗でエビを引き立ててくれるような季節の野菜を少し加えてみたいと思います。
今回はアスパラガスとミニトマトを使うことにしました。 アスパラガスは下処理としてまわりの三角のヘタを取り除き、繊維の多い下の方の皮を剥いて塩を入れて沸騰させたお湯で、さっと湯がいてから冷たい水に取り上げます。
太さにもよりますが、再度火を入れ直しますし、この時にアスパラは火を入れすぎると食感が悪くなってしまうので『火を通す』というより『きれいな色を出す』ために手早く湯がく、というイメージです。
ニンニク、しょうが、赤タマネギ、鶏のスープ、タイ産の小口ネギ
ニンニクとしょうがは、それだけでも美味しい味と香りをつけてくれる欠かせないものです。 フランスなのでポワローネギをみじん切りにしても良かったのですが、今回は赤タマネギを少し大きめの粗みじん切りにして食感も楽しめるようにしたいと思います。
鶏のスープは家庭であれば粉末のものでも充分です。 タイ産の小口ネギはアジア系のスーパーマーケットで手に入れることができるのですが、香りが良くお味噌汁に浮かべたりしても美味しく、何にでもよく合う僕にとっての『万能ネギ』です。
主な調味料
ゴマ油、紹興酒、オイスターソース、味噌、ハチミツ、ケチャップ、お醤油、片栗粉
紹興酒の代用として、料理酒でももちろん構いません。
ソース
ニンニクと生姜のみじん切り。 今回はレッドオニオンを使います。
まずはフライパンにゴマ油を敷き、にんにく、生姜のみじん切り入れて弱めの中火にかけ、焦げないように注意をしながら油に香りを移すように炒めます。
油に香りが移ったら、赤タマネギを入れてさっと炒め、さらに紹興酒を(大さじ3ほど)入れてアルコールを飛ばすようにここで一度しっかりと沸騰させます。
紹興酒のアルコールが飛んだのを見計らって調味料を入れます。 水溶き片栗粉でとろみをつけ、ソースが完成したら待機です。
アルコールが飛んだら調味料を入れていきます。
オイスターソース、味噌、ハチミツ、ケチャップ、そしてお醤油を少々、そして鶏のスープを入れて一煮立ちさせて味見をしたらいったん火を止め、水溶き片栗粉を回し入れてダマができないように手早く混ぜます。
僕は料理をするときに軽量はせず、ほとんど目測りなのですが、おおよそとして、オイスターソース=大さじ1、味噌=大さじ1、ハチミツ=大さじ1、ケチャップ=大さじ3、そしてお醤油を香り付け程度に少々、そして鶏のスープ=450から500ml、最後にとろみを付ける水溶き片栗粉用の片栗粉=大さじ1(を少量の水で溶いたもの)くらいを目安にしてください。
この時点でいったん味見をして全体のバランスを見ます。 基本的にはここに塩とコショウを加えて味を整えれば良いのですが、例えば酸味が欲しいようであれば少しお酢を入れても良いですし、甘みが欲しいようであればハチミツを足す、といった具合で自分好みに調整してみるということが大切です。
また、辛くしたい、というようであればもちろん唐辛子を好みに応じて入れましょう。
好みの味のソースに調整できたらいったん横に置いておきます。 本場のように、というのであれば中華鍋ひとつで仕上げにかかるのでしょうが、家庭でもこうしてソースをあらかじめ仕上げてしまうことで誰でも落ち着いて作ることができます。
火入れ
エビの両面に軽く色がつく程度に焼きます。 焼いたエビは余分な油を取り除くため、キッチンペーパーの上に引き上げます。
エビにさっと火を入れます。
下処理をしたエビに薄く塩をあて、片栗粉、あるいは小麦粉をまぶして中火に熱したフライパンに油を敷き、両面を焼きます。 片栗粉と小麦粉では口当たりが少し違いますが目的としては味を閉じ込め、ソースの絡みを良くする為のものなので、どちらでも構いません。
仕上げでソースと合わせる時に再度火が入るので、この段階では中心部がまだ生のままでも構いません。 イメージとしては表面に焼き色が少しつく程度に焼きます。
焼けたら一度キッチンペーパーを敷いたお皿などに引き上げて余分な油を取り除くようにします。
仕上げ
一度洗って温め、薄く油を引き直したフライパンにミニトマトを入れて焼きます。 次に下処理をしておいたアスパラガスを入れます。
一度フライパンを洗い、中火にかけて油を薄く敷きます。
まずは半分に切っておいたミニトマトから焼き始め、フライパンをあおるように混ぜて全体的に熱がまわったら、湯がいて冷ましておいたアスパラも一緒に入れて炒めていきます。

アスパラにも熱がまわったタイミングで、お皿に取り上げておいたエビ、ソースも一緒に合わせて軽く一煮立ちさせます。 この時にあまり強火にするととろみのついたソースが焦げ付いてしまうので、中火のままとゴムベラでやさしく混ぜ合わせるようにしながら一煮立ちさせます。
完成!!

片栗粉でとろみをつけたソースというのは、しばらく熱を保つため、一瞬でもしっかりと温度が上がれば、あとは予熱だけでも充分にエビに火が通りますので火を止めます。
火を止めたら手早く盛り付けて食べるのも良いですし、パーティーや友達の家に持って行くのであれば軽く粗熱が取れるのを待ってから容器に入れるといいでしょう。
最後に万能ネギを振りかけたら完成です!! それではボナペティ!!!
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