
早朝に訪れたヴァンヴの蚤の市。
前日の天気予報では雨だったので出店する人たちが少ないのではと思いながらも、家からとても近いし散歩がてらにとやってきたヴァンヴの蚤の市。
12月のパリは日照時間が少なく、朝の8時でもまだ夜のように暗いのですが、もう出店者の人たちの半分以上は準備を終えている状態で、お店を見にくる人達もそれに合わせるように少しずつ来始めています。
朝1番で駆けつけて掘り出し物を探す常連さんたちの中には片手に懐中電灯を持ちながらまだ準備も終えていないお店で何か良いものがないかと探している人もいて、そういった人は熱心なコレクターか、でなければ骨董品を扱うことを仕事にしている人たちです。
ティーカップなどの食器に銀器、古い水瓶に革表紙の分厚い本、壊れてしまって動かなくなった時計に家具、ブリキのおもちゃにアクセサリー、並んでいるものはある人にとってはただのガラクタでも、ある人にとってはもしかすると宝物にだってなり得るようなものかもしれません。。

雨は夜中に降っていたようで地面はまだ濡れていますが、この時にはすでに止んでいて、気温も確か7度くらいだったと思いますが、マフラーや手袋をしていたこともあって、ゆっくりお店を見て回っていても、さほど寒くはありませんでした。
もしかすると僕の気のせいかもしれませんが、冬のパリは雨降りや曇った日よりも青空が広がるような天気の時ほど身体の芯まで冷え込むような寒さを感じる気がします。

何十年、あるいは1世紀以上も前に描かれた絵画も並んでいますし、世界大戦時の軍人さんの肖像写真なんていうのも見かけたりします。
ごく稀にこうした骨董市で埋もれていた巨匠の作品が見つかったりして、ちょっとした話題になることもありますが、そうでなければ本来絵には定まった値段というものがあるわけではないので、見る人の感性や知識によって好きな値段がつけられています。
なのでもちろん欲しいと思った人は店主に値段交渉をするのが当たり前ですし、そうなれば駆け引きとその日の運次第で、ずっと大切にできるような気に入った作品をびっくりするくらい安い値段で手に入ることが出来るかもしれません。
ひとつめのお買い物 『小さな魔法使い』
ふた股に分かれた帽子。 手足の表情もかわいい。
普段、僕はミニマリストというわけではありませんがあまり家に物が増えないようにしているので、こうした蚤の市がすごく好きでもまず何かを買うことはないのですが、この日に限ってはめずらしく買い物をしたので、今日は僕が手に入れた”戦利品”を皆さんに紹介したいと思います。
まずはじめに目に止まったのは小さな子供が魔法使いの格好をした人形です。 お尻の下に敷いてあるクッションの中には電池を入れるところがあって、上手く修理して電池を入れれば何かしらのギミックが起こるのでしょうが、今のところはまだわかりません。。
はじめはおじいさんが小脇にその人形を抱えて歩いているところが目に止まり、すごく気になったのですが、買われていったものは仕方がないと思っていたら、どうやらトラックから下ろして店先に並べているところでした。
古びた電子レンジの上にポンと置かれたところを近づいて見たらすごく可愛いのでさっそく値段を聞いてみたところ、拍子抜けするほどの値段だったのですぐに買おうと思いました。
おそらくは普通に量産品として売られていたものだと思うのですが、ドレスのような魔法使いの衣装から出た小さな手足にまで表情があり、何より長いまつ毛の生えた大きな目の人形は、今にもこっちを見て何かを話し出しそうな雰囲気だったので、一目惚れして買ったのです。
ふたつめのお買い物 『ブロンズ製の小さな猫の置き物』

ふたつ目に買ったのはコロンと転がっていて、最初はなんなのか分からなかった小さなブロンズ製の猫の置き物です。
とても小さな物なのですが手に取ってみると、もともと僕が猫が好きだということもあるかもしれませんが、やっぱり妙に引かれるものがあったので購入しました。
水、お酢、塩で少し煮て本来の色に戻します。 きれいになりました。 ブロンズの猫。
すこし磨けば本来の銅の色が出るだろうと、インターネットで磨く方法を検索して一番簡単そうで傷がついたりしなさそうな、酢と塩を入れたお湯で10分ほど煮るという方法を取りました。
2分もすると見る見るうちに黒かった色が、赤みがかった銅の色へと変わっていきます。
粗熱が取れるのを待ってから、もう着ることがなくなった服の端っこで軽くこすると僅かに光沢も出てきました。
そうすると自分で磨いたということもあってなのか、買ったばかりの時よりも愛着が増してきたように思えてきます。
みっつめのお買い物 『ラリックの熊』
ラリックの熊 正面から見ると顔立ちがわかります。
そして最後に買ったのは日本でも良く知られている、フランスのガラス工芸品、ラリック(Lalique)のクマの置物です。
大きさは高さが約9センチ、長さは約17センチくらいのもので、クンクンと匂いを嗅いで何かを探しているような仕草をしていて、ずんぐりと丸みのある身体がなんだかおっとりとした感じで優しそうな雰囲気を醸し出しています。
正直を言うとブラブラとやってきた蚤の市で買うには僕にとって安くはない値段ではありましたが、こうして良いものを身近に置くというのは良い感覚を持ってそれを養えるということもあると思うので、思い切って買うことにしました。
僕の買ったクマさんは現行品ではないにせよ、そこまで古いものではないのですが、もしも裏側の刻印に創業者のルネ・ラリックが存命していた時代につくられた証であるR. Laliqueの刻印があるものであったならびっくりするような値段がつくとのことです。
この日僕が買ったものはすべて骨董品の置き物なので生活に直接役立てたり外へ持って出歩けるようなものではありませんが、それぞれに不変的な魅力があり、やはり自分で気に入って買ったものを手の触れられるところに置くということは、それだけで少し幸せになれるような気がします。。
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