油絵を描こう 6

リンゴの絵 3回目

パレットに並べた絵の具。
パレットに並べた絵の具。

色数を増やして彩度と明度の高い色調に

前回の油絵を描こう 5までは4色のみを使って描き進めていましたが、今回からは色数を9色に増やして明るい画面にしていきます。 

使う色は前回までのイエローオーカーバーントアンバークリムソンレーキウルトラマリンブルーに加えてパーマネントイエローパーマネントレッドビリジアンコバルトブルー、そしてジンクホワイトを加えた合計9色です。

9色という限られた色数ですが、透明度の高い絵具が多いので、混色によって一枚の絵を仕上げるのに充分な色の表現が出来ます。 

透明色と不透明色

油絵の具は顔料によって透明色不透明色半透明色と分類することが出来ます。 描くにあたってそこまで注意する必要もありませんが、知っておけば表現に広がりが出ることも間違いありません。 

もちろんそれぞれが個性なので、何が優れているというわけではなく、それぞれが使い勝手によって個性を生かせるということですね。 

不透明色は下に塗られた絵具を覆い隠す力、隠蔽力(いんぺいりょく)が強く、逆に透明度の高い絵の具は特に画用液で希釈すると下の絵の具が透けて見えるくらいです。

なのでたとえばしっかりと乾いた鮮やかな黄色の上に、透明度の高いウルトラマリンブルーを薄く塗れば、ブルーのセロファンを通したように、下から黄色が透けて、単色では出ない緑色を表現することが出来たりします。 (この技法をグレージングと言います。)

リンゴの絵 8
リンゴの絵 8

前回の終了時。 

パレット上で混ざる油絵の具。
パレット上で混ざる油絵の具。

亜鉛華を顔料とする透明度の高いジンクホワイトが加わったことで明るく優しい色合いの表現が出来るようになりました。 イエローオーカーにブルーを加え、背景の色のベースを作ります。 

背景との距離感 

こうした静物画においてはあまり当てはまりませんが、たとえば山岳の風景を描くとして、緑の山々も遠くのものほど空気の層を通して青みがかって見えます。 

同様に、こうした彩度の高い赤いリンゴの実が木になっていたとしたら、実際にはそれほど遠くではなかったしても赤を僅かに青みがかった赤にすることで自然な赤に見せることが出来ます。 

つまりは青みがかった色は実際よりも印象として遠くに見えるので、静物画においても距離感を与えるテクニックとして利用することが出来るというわけです。

リンゴの絵 9
リンゴの絵 9

それではまた、今回も背景から色を乗せていきます。 リンゴの際の部分から明るい色調にトーンを上げた背景の色を置いて行きます。 まだ絵の具が重なっていくので細かいムラや塗り残しはあまり気にしなくて大丈夫です。

今回の画用液

今回の画用液はテレビン油6:リンシード油4くらいでペトロールはもう入っていません。

ペインティングオイルでしたらそのままか、あるいは少量のペトロールを加えても構いません。 

この辺りでの一つの注意点として、やはり多めの乾性油で描いていて完全に画面が一度乾燥してツルツルになってしまった場合、次に置く絵の具の引っ掛かりが悪くなってしまい、将来表面の層の絵の具が剥離してしまう可能性があるので、解決策として最後の層まで過剰な乾性油の使用は避ける、乾いてしまったら加筆ルツーセを使うという事などが挙げられます。

加筆ルツーセ

その名前の通り新たに加筆するときに用いる画溶液です。 

たとえば、描き進めていて一度画面が乾燥したときに、前回筆を置いたときのしっとりと濡れたような色調とは異なり乾燥によって艶のない画面になってしまっている事があります。 そうすると新たに乗せる絵の具との質感の違いから色調のバランスが取りづらい、などというときに一度画面全体に塗布して調子を均一に整える事で描きやすくするための画用液です。

また、僅かに画面の表面を溶かしてくれるので、上に乗せる絵の具がよく馴染むようになります。 ですが実際はあまり用いる機会は少ないように思います。

リンゴの絵 10
リンゴの絵 10

周りには見る人の視線を中央に誘導するため、落ち着いた色調の色を置いていきます。 リンゴに使うクリムソンレーキやパーマネントレッド、そしてウルトラマリンブルーにビリジアンも忍ばせるように織り混ぜることで、全体的に統一感のある色合いにしていきます。

リンゴの絵 11
リンゴの絵 11

更に筆を重ねて背景を馴染ませます。 この時にこだわり過ぎたり執着しすぎると濁った色合いになってしまうので大体雰囲気が出たと思ったらそれ以上触らない事が大切です。

影の色

そうしたら次にリンゴの影を描きます。 背景リンゴの影リンゴと、前回と同じ順序ですね。 

暗い影の中にも僅かなジンクホワイトやクリムソンレーキなどを入れる事でただ暗いだけではない調和のとれた影の色ができます。

こうして影になっている部分にもいろんな色が隠れているので、うまく表現することで主役であるリンゴがいきいきとして際立ってきます。

リンゴの絵 12
リンゴの絵 12

影を終えたら、いよいよリンゴに明るく鮮やかな色を使って瑞々しい色を乗せていきます。 

濃く深い色の赤、まだ赤くなってはおらず僅かに黄緑色を含んだ淡い黄色、観察すればするほどに、小さなリンゴには様々な色を見つける事ができます。

リンゴの絵 13
リンゴの絵 13

鮮やかなリンゴの中にも、暗くなっている部分(これをの部分と言います)には特にいろんな色が隠れて見えます。

そうした部分にも注意をしながらパーマネントレッド、パーマネントイエローという原色の鮮やかな色とジンクホワイトの透明感ある色を使うことによって、リンゴが格段に鮮やかになりました。

さて、これで画面全体に新たに明るい色調の絵の具が行き渡ったので、今日はこれまでとします。

いよいよ次回は仕上げです。 

リンゴのヘタは最後の仕上げの時に描き加える事で存在感のあるものにしたいと思います。

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