低温調理 鶏胸肉のサラダ

低温調理した鶏胸肉のサラダ2
バタヴィアレタス、アンディーブ、トマトにジャガイモ、新玉葱と赤玉葱と一緒に。
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低温調理

狩猟で得た肉や魚、そしてそのままでは固かったり苦かったりして食べることの出来なかった木の実や穀物、山菜などを、焼いたり、土器に入れて煮込むことで食べられるようにする基本的な調理方法は、僕たちが知る遥か昔の縄文時代にはすでに行われ、その時代から今日にかけて引き継がれてきました。 

炎を扱い、熱を加えることで食料の保存や殺菌も出来るようになり、さらにはより美味しいものが食べられるように、だんだんと今日まで料理は進化し続けて来たのです。 

その過程で、ついこの最近(1970年代後半)までなかったのが、低温調理の概念です。 それまでは、例えばお湯が熱くなり沸騰するのが視覚的にも見えることで食材を調理して来ましたが、沸点に達しない温度でゆっくりと調理するという概念や発想は、一般的にほとんどなかったのです。 

今ではレストランや、しっかりとした料理を提供するホテルにおいて、低温調理はもはや欠かすことが絶対に出来ないものになりました。 この低温調理の一番の大きなメリットは、約68度を境に肉や魚のタンパク質が凝固し、水分が抜け出してしまう手前の温度で安定した火を入れ、身がパサパサになってしまうことなく潤いを保ったまま調理ができることです。 

もちろん肉や魚だけではなく、野菜や果物でさえ味を逃さないよう、それぞれの個性に合った温度、時間で火を入れることによって、それまでなかった味が引き出せるようになりました。

その他にも真空パックを用いた低温調理では空気を完全に遮断して火を入れることで、そのまま何日も冷蔵庫で保存することが出来たり、味を逃さずに少ない調味料で味付けできるなど、利点はたくさんあります。 ですが長きにわたってこの低温調理の観念が広くに伝わらなかったのは、そうしたある一定の温度を安定して長時間保つということが一般家庭はもちろん、プロの料理人たちの間でさえとても難しかったからです。

例えるなら、経験のある料理人でも温度計だけを頼りに温泉卵を作るのは、何気なく簡単に作っていうるように見えても実際はとても神経を使うし、手間がかかります。 

しかし最近ではとてもいい低温調理器やスチーム・コンベクション・オーブンがあるおかげで、例えば58度ぴったりの温度で40分、といったようにガスコンロやオーブンでは難しい温度管理ができるので、これまでは火が入り過ぎてしまって失敗する恐れがあったローストビーフなども簡単に調理できるようになったのです。 

そこで今回は、家庭で低温調理器が無くてもできる、鶏の胸肉の低温調理について紹介します。 鶏の胸肉といえばパサパサしていて好きじゃないという人がよくいますが、脂質が少なく、高タンパクな鶏の胸肉は、健康な食事を心がける人や、運動、フィットネスをする人にとっても、食べずにいるなんて勿体ないくらい心強い食材なので、ぜひ一度試してみてください。

低温調理器が無くても簡単に出来る鶏胸肉の調理の仕方。

買ってきたばかりの鶏胸肉。 
買ってきたばかりの鶏胸肉。

、まな板の上に置いた、買って来たままの鶏の胸肉です。 皮が付いたものもありますが、フランスではこうして皮を取り除かれた状態で売られていることが多いですね。

下処理をした鶏胸肉
筋や余分な脂を取り除き、塩、こしょうで下味をした鶏胸肉。

、余分な脂や筋を包丁を使って取り除きます。 ササミの部分を一度はずすと作業がしやすいです。 取り除いてきれいになったら下味に塩、お好みで胡椒をします。 身の厚い方には少し多めに下味をしましょう。

鶏胸肉。ラップで巻きます。
ササミの部分を戻してラップに巻きます。

、一度まな板を掃除したら、ラップを用意します。 ラップの上に胸肉を皮がついていた方を下側に置き、ササミを戻しますが、この時に元あったのと逆向きにササミを置き直すとラップを巻いたときに太さがより均等になります。

ラップに包んだ鶏胸肉。
包み終えた鶏胸肉。

、空気がなるべく入らないようにラップに巻き、左右をキャンディーのように持ってお肉をまな板の上に転がして包みます。 包んだらもう一度同じように巻いて2重にします。 そうしたら火を入れる前に常温で1時間ほど置きます。 下味が馴染み、常温に置くことでこの後の火入れがより簡単になります。

、鍋に包んだ胸肉を入れ、ぬるま湯を被るよりもさらに多めに貼って中火にかけます。 時折優しくお湯をかき混ぜて温度を慣らし、指を入れて温度を確認します。 少し熱めのお風呂の湯船の温度(40度を超えたあたり)になったら一旦火を止め、蓋をして10分ほど待ちます。 40度くらいではもちろんお肉に全く火が入りませんが、こうすることで中心部が35度くらいにはなるのでこの後の火入れでより均等に火が入りやすくなるのです。

、10分が経ったら、再び火を中火にかけ、胸肉の表面が全体的に白くなったらすぐに火から降ろし、(この時のお湯の温度がおよそ65度くらい)蓋をしてそのまま15分待ち、余熱で火を入れます。 

冷たい水で冷まします。 冷めたら出来上がりです。 ラップを切って開けなければ冷蔵庫で5日くらいは充分に日持ちしますし、出来たものを冷凍しておくのもとても便利です。

低温調理した鶏胸肉。
火を入れ、冷ました後に切った鶏胸肉。

、ラップを外したら好きな形に切ります。 写真のように真っ直ぐ切っても良いですし、賽の目に切るのも食べやすくて良いかもしれません。 

サラダに。 今日のレシピ。

低温調理した鶏胸肉のサラダ1
盛り付けてトマトの赤い色が加わると食欲を引き立てます。

今回はサラダに使ったので、僕がよく作るドレッシングのレシピとともに作り方を紹介します。

低温調理した鶏胸肉バタヴィアレタスアンディーブトマト茹でてじゃがいも赤玉ねぎ新玉ねぎ各適量。 ボールに入れます。

、『ドレッシングのレシピ』

グレープシードオイル 大さじ2(あるいはサラダオイルでも大丈夫です) 

ごま油 大さじ1

シェリービネガー 大さじ1(なければ普通の穀物酢などで大丈夫です) 

お醤油 大さじ1

胡椒 適量

ニンニクパウダー 適量 (生のニンニクをみじん切りにしたり擦ったりしても構いませんがまな板を汚さずに使い勝手がとても良いので、スーパーなどで見つけたら是非ひとつ買って家に置いておくと、とても重宝します。)

(お醤油が入るので必須ではありませんが、お醤油を少なくしてその分塩を入れるなどお好みで。)

その他サラダの具材として、僕がよく使うのは、フランスでSURIMI(すり身)の名で親しまれているカニカマキノアアボカド、やアスパラガスとうもろこしの缶詰なんかも一緒に入れるととても美味しいですし、たくさんの素材を入れたサラダを作ると、一品だけでもかなり栄養バランスが取れた食事としてのサラダになります。

、ボールの中で作ったドレッシングで味付けをします。 全体に味がなじむように混ぜ合わせたら出来上がりです。 お皿に盛り付けましょう。

サラダ以外にも。 応用。

すぐに食べれるしお手軽なので僕は大抵、サラダにして食べますが、ブロッコリーなどの野菜とフライパンで炒め物にしたりする場合は、一緒に強火で炒めてしまうとせっかくの低温調理が台無しになってしまうので、まず先に野菜にしっかりと火を入れ、火を止めてから低温調理した胸肉を入れて余熱で軽く温めるくらいにするととても美味しいです。 

その他、例えばゆっくりと食事の準備をする時間がないときに、ラーメンやうどん、パスタなどの麺類だけ(炭水化物だけ)食べる、などというときには、栄養バランスが偏ってしまうので具として足してあげたり、賽の目に切って納豆と混ぜたりと、アイデア次第で本当に幅広く使うことができるので是非作ってみてください。

そして頻繁に作る機会が増えてきたら、最近は性能の良い家庭用の低温調理器が作られているのでそれを購入するのも良いかもせれません。 料理人としての意見を言わせていただくと、家庭での料理を簡単に美味しく幅のあるものにしてくれるので本当におすすめです。

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