コロナウィルス 5

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外出制限の緩和が始まって一週間

パリ セーヌ川 エッフェル塔

エッフェル塔を遠目にセーヌ川に浮かぶ船。

5月11日から始まった外出制限や店舗営業の緩和から早一週間、よる陽が落ちると少し肌寒くもありますが、それでも天気の良い日が続いていて昼間に外を出歩いていると一瞬、世界中がコロナウィルスの危機に面していることなど忘れてしまうくらい、さわやかな青空の日が続いています。

これまで出勤や、止むを得ない事情がある場合を除いて自宅から1km以内までと制限されていた移動範囲が100kmまでと一気に拡大され、散歩やジョギングにも時間制限無しに、外出許可証も用意することなく出掛けられるようになりました。

ただメトロや市バスなどの交通機関は、人の密集を避けるため、まだかなり制限がかけられた状態にあるので、僕が少し遠出をするときは、パリ市が運営するレンタルサイクルVelib’(ヴェリブ)を使いますが、アジア系のスーパーで調味料を買うことが出来たり、友達に会いに行けたりするので不自由という不自由は、ほとんどと言って良いほど感じなくなりました。

外食産業は、Uber Eatsなどの宅配サービスや、店頭で買ってから持ち帰るテイクアウトに限って営業の許可がされているので、そういった形のお店はむしろ普段よりも繁盛しているようですが、店内でお客さんが席に座ってサービスを受けるレストラン形態の飲食店の営業許可は、まだされていないために多くの経営者が窮地に立たされている状況は今も変わりません。なのでここ最近は、街のビストロなどが普段であれば提供していないテイクアウト用のメニューを特別に日替わりで設け、紙袋に詰めたりして販売しているのを見かけます。

こうした飲食店の営業再開、緩和は、コロナウィルスの被害状況と人口密度の具合によって地方ごとに段階的にされていきますが、パリとその周辺は、言うまでもなく人口密度、お店の件数ともにフランスで最も集中している地域なので、営業再開の目処は早くても夏休みが終わった後の9月以降が予想されますが、たとえ営業が始まったとしても、客席やテーブルに一定の間隔を開けなければならない、などの足枷のついた営業形態を強いられることから、普段の半分くらいのお客さんにしかサービスが提供できず、場合によってはその半数程度の席すらも埋まるかどうかわからないといった経営者たちにとって、とても厳しい状況になると思います。

今まで入店に人数制限をかけながらも営業していたスーパーマーケットや薬局、パン屋さんやお肉屋さんに加え、日曜大工のお店やお花屋さん、洋服店などもこの11日以降、かなりの数のお店の営業が再開されました。もちろん、どのお店も一度に大勢のお客さんを入店させることを避ける必要があるので、店内の面積に応じて一度に入店できる人数が決められているのは、これまでと同様ですが、それでも外出制限中、手に入りにくかったものをやっと買えるということも重なって、それぞれのお店には大小の列が出来ています。

長いあいだ経済的にかなりの部分がストップしていたのでみんなが今、ある程度のお金を消費するのはとても大切なことです。今回のロックダウンに対する営業停止命令から来る損害、損失に対する国からの保証は、いまだ経営者たちとやり取りをしている段階で、今後どれくらいの穴埋めを国が経営者たちにしてくれるのかは今のところまだ分からない部分も多くあるようですが、僕も含め一般の労働者たちに対しては少なくとも普段の給料の手取りの84%が保証されているので必要不可欠な物を安心して買うことが出来るのは本当に有り難いことだと思います。

国への負担はとても大きいので手放しでは喜べませんが、そのおかげでフランスでは外出や移動に制限がかけられつつも、ストライキや暴動が起きたりする危険もなく、明日を生きるためのお金が底を突いてしまいそう、などという心配も今のところはありません。

ここのところ僕自身、自宅にいる時間が必然的に長くなったことで、物事を考える時間が普段よりもとても長くなりました。すると、どうしても日本のニュースを気にせずにはいられずついつい見てしまうのですが、日本の取るコロナウィルスへの対策方針として、感染を防ぐため外出の自粛を呼びかけたりしているにもかかわらず、経済的な援助もせず、そのことから生活の危機に追い込まれる大勢の人たちがいるというのに、実質的な国からの援助が2枚のマスクと1回だけの10万円というのはあまりに少ないように感じて仕方がありません。

日本が経済的に昔と比べてどれだけ下火になってきているとは言え、このコロナウィルス一連の問題から追い詰められた立場の弱い人たちを救う資金や手立てはいくらでもあるはずなのに。

日本人は大人しく、忍耐強くて規律があると世界から言われるのは、やっぱり僕も日本人としてとても誇らしいことですが、今回ばかりは日本人が日本という国に、そして政治に対して、今何をすればいいのか、何をしなければならないのかを強く問いかけ、場合によっては闘う覚悟だってする必要があると思います。

どうか日本が僕の愛する日本であり続けますようにと、強く願います。

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